システムのバックアップ(1)-XCOPY
---BartPE実用編---

システムのバックアップが、通常データのバックアップと異なるのは、稼動中はそのシステムを書き換えることができないという点です。
つまりバックアップではなく、リストアに困難が伴うのです。
リストアを実行するためには、別のシステムを立ち上げなければなりません。その別のシステムとして、これまではDOSを使ったり、Linuxを使ったりしてきました。そのためNTFSの読み書きや、Windows用に特化された外部接続機器を認識させるのに、困難がありました。

BartPEの本質はWindowsXPに他なりません。
つまり、XPが備えている能力(NTFSの読み書きやUSB機器の認識など)が、ほとんどそのまま使えます。
そしてBartPEはメインからは完全に独立したシステムです。
この2つの特性があいまって、BartPEを使えば、簡単にシステムのバックアップとりストアができます。
このページではもっとも単純な方法、XCOPYを使った方法を紹介しましょう。
XCOPYはWindowsに含まれるコマンドです(DOSコマンドを拡張しています)。圧縮できないのが難点ですが、HDDに余裕があるなら、充分実用になります。



■バックアップの実行
バックアップ対象のパーティションとは別に、少なくとももうひとつ、パーティションが必要です。ファイルシステムや接続形態を問いません。BartPEから読み書きが可能で、バックアップデータを保存するのに充分な空き容量があるパーティションならなんでもいいです。
ここでは、Cドライブにシステムがあるものとして、それを、D:\C_BACKUPというディレクトリにバックアップするものとして説明します。
(BartPEを立ち上げたときと、通常どおりHDDから立ちあげたときでは、ドライブ文字が変わる場合があります。注意してください。)
バックアップは、BartPEを立ち上げ、コマンドプロンプト、または「ファイル名を指定して実行」から、下記コマンドを実行するだけです。

XCOPY C:\ D:\C_BACKUP /c /s /e /q /h /i /k /r /y

XCOPYのオプションの詳細はネットなどで調べてください。
要するに、Cドライブのすべてのファイルを、隠しファイルやシステムファイルも含めて、ディレクトリ構造とともにD:\C_BACKUPへコピーしています。
1点だけ、/qオプションについて述べておきます。 通常は/fオプションをつけて、ファイル名を表示させながら実行するのですが、BartPEでは、ビデオドライバの関係からか、描画が遅いです。描画の遅さがコピー処理の足をひっぱります。それを避けるため/qオプションを使用して、いっさいファイル名を表示しないで実行しているわけです。
ファイル数にもよりますが、それでも数分から十数分かかるでしょう。
音で終了を告げるようにしたいなら、c_backup.cmdなどという名前のファイルを作り、そこに、

XCOPY C:\ D:\C_BACKUP /c /s /e /q /h /i /k /r /y



exit

というコマンドを書けばいいです。
コマンドプロンプトや「ファイル名を指定して実行」からc_backup.cmdを実行するわけです。
上で黒点のように表示されているのは、ベル文字(0x07)です。上をコピーアンドペーストしてもいいし、エディッタのコントロール文字入力機能で、入力することもできます。
上例ではベルを3回鳴らしています。

バックアップはこれだけです。
ただし、バックアップ対象のシステムがWindows95/98/MEの場合は、あらかじめ必ず起動ディスクを作っておくようにしてください。2000/XPでは不要です。



■リストアの実行
リストアもBartPEから行います。
ドライブ文字が、通常のWindowsを起動したときと異なる場合があるので、ボリューム名などを参考に、ドライブを間違えないよう注意してください。
ここでは、バックアップの逆、D:C_BACKUPディレクトリに保存したデータを、Cドライブにリストアするものとして説明します。
次の手順を行います。

(1)BartPEを立ち上げます。

(2)リストア対象のCドライブをフォーマットします。

(3)コマンドラインまたは「ファイル名を指定して実行」から次のコマンドを実行します。

XCOPY D:\C_BACKUP C:\ /c /s /e /q /h /i /k /r /y

終了時にベルを鳴らすなら、c_restore.cmdファイルを作り、

XCOPY D:\C_BACKUP C:\ /c /s /e /q /h /i /k /r /y



exit

を書いて実行します。(黒点はベル文字)

(4)リストアしたシステムがWindows95/98のときは、BartPEを終了後、起動ディスクから立ち上げ、

SYS C:

を実行してシステムを転送する必要があります。
2000/XPならその必要はありません。ただ、「ディスクの管理」で、Cドライブがアクティブになっていることを確認しておいてください。
以上です。
これでリストア完了です。


■応用です。
新しく容量の大きなHDDを買い、それへ現在のシステムを移したい場合、どうすればいいでしょう。
上と同じことをやればいいのです。
簡単に手順を書けば・・・。
新しいHDDを接続したら、「ディスクの管理」を使って領域確保とフォーマットを行います。
それからBartPEを立ち上げ、上のXCOPYコマンドを使います。
古いシステムパーティションをC, 新しいパーティションをXとすると、

XCOPY C:\ X:\ /c /s /e /q /h /i /k /r /y

です。
そして「ディスクの管理」からアクティブなパーティションをXに変えればいいわけです。
これだけで、システムをそっくり移行できています。